公務員の兼業は基本的に禁止されていますが、親の所有物件を相続し賃貸収入が発生している場合は兼業扱いとなってしまいます。
しかし、相続した物件の種類や棟数、賃料収入の金額など、事業規模によって取るべき対応が変わることをご存知でしょうか。
そこで今回は、兼業禁止規定に基づき、公務員が相続した不動産により収入を得る時の対応と注意点についてまとめていきます。
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親の賃貸物件を相続した後に収入を得続ける方法
公務員の兼業は、仕事上の守秘義務や信用、公平性の観点から法律で禁止されており、たとえそれが親の相続物件であったとしても禁止であることに変わりはありません。
そうは言っても世の中には公務員として働きながら不動産運用で収入を得ている人がいることは事実です。
公務員の兼業は法律で禁止されてはいますが、実は兼業としてみなされるかどうかには明確な基準が設けられているため、基準以下であれば賃貸業を継続することができるのです。
さらに基準以上であっても、許可を得ることができれば継続できると定められています。
そのため、親の賃貸物件を相続した場合でも収入を得続けることは可能ですが、まずは相続した賃貸物件の規模が兼業にあたるのかあたらないのかを確認していきましょう。
相続物件が兼業としてみなされないために確認する3つのこと
公務員が不動産運用による収入を得るうえで大切となるのは兼業としてみなされるかどうかになります。
兼業としてみなされるかどうかの基準については、国家公務員法に適用されている人事院規則で規定されているのです。
「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」によると、兼業とみなされるかどうかは、所有している不動産の事業規模によります。
兼業としてみなされない規模は以下の3点です。
①独立家屋の賃貸数が5棟未満であること
②独立家屋以外の物件で賃貸する部屋数が10室未満であること
③賃貸物件による収入が年額500万円未満であること
それぞれ解説していきます。
独立家屋の賃貸数が5棟未満の場合
兼業としてみなされない基準の1つ目は、「独立家屋の賃貸数が5棟未満であること」です。
ここでいう独立家屋は一軒家などの戸建てを指しています。
戸建て5棟の賃貸 | 兼業とみなされる |
戸建て4棟の賃貸 | 兼業としてみなされない |
このように戸建て4棟までであれば、兼業としてみなされず運用していくことができます。
独立家屋以外の物件で賃貸する部屋数が10室未満であること
兼業としてみなされない基準の2つ目は「独立家屋以外の物件で賃貸する部屋数が10室未満であること」です。
独立家屋以外ですので、アパートやマンションなどの集合住宅を指しています。
アパート 1K1棟10室 | 兼業とみなされる |
マンション2LDK1棟9室 | 兼業としてみなされない |
アパート1k4棟8室 | 兼業としてみなされない |
このようにアパートやマンションなどは部屋数を基準としているため、4棟8室でも兼業とはみなされません。
賃貸物件による収入が年額500万円未満であること
兼業としてみなされない基準の3つ目は「賃貸物件による収入が年額500万円未満であること」です。
ここでいう年額とは所得ではなく、家賃収入のことを指しています。
※ワンルームマンション 月額家賃8万円の場合
部屋数が6戸の場合 | 8万 × 12か月 × 6戸 = 576万 | 兼業としてみなされる |
部屋数が5戸の場合 | 8万 × 12か月 × 5戸 = 480万 | 兼業としてみなされない |
このように年額の家賃収入によって兼業としてみなされるかどうかが変わるため、月額家賃の設定と部屋数を確認しましょう。
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相続した賃貸物件では兼業の許可申請をするべき2つの理由
親から相続した賃貸物件の場合、一から不動産投資を行い運用していくのとは違い、既に土台の出来上がった不動産運用ができていることが多いかと思います。
そのため兼業としてみなされる規模になっていることも多いのではないでしょうか。
賃貸物件を相続して所有した場合、許可申請をして運用することをおすすめいたします。
許可申請をして運用すべき理由は以下の2つです。
①相続して取得した賃貸物件は許可申請が承認されやすい
②懲戒処分を恐れず副収入を得続けることができる
それぞれ解説していきます。
相続した賃貸物件は許可申請がされやすい
実は相続などによって取得した賃貸物件の場合、通常の許可申請と比較して承認が得られやすくなっています。
公務員は国民の生活を守ることも使命の一つです。
相続などによって取得した賃貸物件に、既に住んでいる人も居るでしょう。
もしその場合に、物件自体が売りに出されてしまうと、住人は少なからず不利益を被る可能性があります。
従って物件を相続して賃貸業を続けることが国民の生活を守ることに繋がるとされているため、許可申請の承認を得られやすくなっているのです。
懲戒処分を恐れず副収入を得続けることができる
万が一、許可申請をせずに不動産運用を続けていることが発覚した場合、懲戒処分や懲戒免職などの処分を受けることになります。
しかし、許可申請をし承認を得ることができれば処分の心配をすることなく、賃貸業による副収入を得続けることができるでしょう。
実際には地域の住民や、物件の住人などからの通報により不動産運用をしていることが明るみになったケースもありました。不動産を所有していた人物は懲戒処分や懲戒免職となっています。
そのため許可申請をすることにより、公務員という立場を守りながら副収入を得続けていくことができるのです。
公務員の不動産運用で必ず抑える注意点
兼業とみなされない範囲での不動産運用でも、許可申請をして継続している不動産運用でも、必ず抑えておかなければならないポイントがあります。
それは「物件の管理を不動産管理会社に委託する」ということです。
公務員は人事院規則で定められているように、兼業としてみなされない範囲の他に、「自営」についても禁止されています。
不動産運用において物件の管理を自分で行うと、「自営」と捉えられてしまう可能性があるのです。
また、公務員には職務専念の規定もあるため、物件の管理を自らが行ってしまうと抵触してしまう恐れもあります。
そのため不動産運用を行う場合は必ず、物件の管理を不動産管理会社に委託するようにしてください。
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公務員でも相続した賃貸物件は許可申請をして運用すべき
公務員の場合、兼業が禁止されているため条件のついてしまう不動産運用ですが、相続等によって所有した場合は許可を受けやすいため、兼業禁止に触れなくとも許可申請をして運用すべきです。
相続で所有した賃貸物件の場合、許可申請の承認を得られやすくなっています。
そのほかにも許可申請をしない場合だと、事業規模による制約があるため売却などの対応が必要となります。
もしあなたが公務員として働いていて賃貸物件を相続したなら、許可申請をし管理方法に注意しながら運用をしてみてはいかがでしょうか。
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