公務員を退職して、新生活を考えている方必見です。
円満に退職するためには、必要な手順があります。
準備には意外に時間がかかります。
知っておくべき、公務員特有の手当もあります。
退職した後ものんびりし過ぎて期限を過ぎると、大変なことになる手続きがあります。
退職準備は日々の業務をしながら、有休休暇も取ることを考えるとあまり時間がありません。
この記事では、公務員が退職する時の全体的な流れを知ることができ、効率的で確実に退職準備ができるようになります。
公務員特有の手当について知ることができ、条件を満たすともらえる手当もわかります。
退職後も健康保険や年金の手続きが必要で、どうやって手続きをするのかを知ることができます。
円満に退職して、明るい新生活を望みましょう。
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公務員が退職するまでの流れとは
公務員が退職するまでの流れは、以下の通りです。
- 退職の意思を伝える
- 退職願の提出
- 面談
- 退職手続き
- 引継ぎと有給消化
- 退職
- 退職後の手続き
退職するまでの全体的な流れを知っておかないと、計画を立てて退職することはできません。
退職は、上司からの引き止めや交渉、引継ぎや手続きの書類作成など、時間がかかることも多くあります。
円満に退職するためには、余裕を持って退職準備をしたいですよね。
計画を立てて、退職する日をゴールとして逆算し、何をいつまでにやっておくべきか把握しておくことが大切です。
1.退職する意思を伝えよう
円満に退職するためには、まずは退職する意思を伝えましょう。
ここでは、まだ退職届を提出する必要はありません。
引き止められるのが嫌だからという理由で、事前の相談もなく退職届を提出されると上司は反感を覚えることでしょう。
円満に退職するためには、退職する手順を守ることが重要です。
手順を守らなければ、職場側は十分な準備ができず困ってしまいます。
ここでは、円満に退職する時期、最初に退職を伝える相手、退職理由などについて紹介します。
退職を伝える時期は?
退職を伝える時期は最低でも2ヶ月前には伝えることがマナーです。
法律上、国家公務員の場合には、人事院規則8-12「任命権者は、職員から書面をもって辞職の申出があったときは、特に支障のない限り、これを承認するものとする。」と記載されており、申し出があれば退職できますが、直前に退職しようとすると確実にもめるでしょう。
地方自治体の場合は、それぞれの服務規定がありますので、それに従いましょう。
具体的に服務規定がない場合は、引継ぎや人員配置を考えると、最短でも2か月は必要です。
状況が許せば年度末の退職で、人事異動の協議が始まる10月〜11月くらいに申し出ると円満に退職がしやすくなります。
退職を伝えることはとても勇気のいることですが、時期が遅くなればなるほどモメる確率が上がるため、タイミングを逃さないようにしましょう。
伝える相手は?
最初に退職を伝える相手は、直属の上司です。
伝える相手を間違えると問題になるので注意が必要です。
間違えて一つ上の上司に伝えてしまった場合、マナー違反になるだけでなく、暗に「直属の上司は頼りにならない、役に立たない。」と受け取られる可能性もあり、不要な誤解を招く可能性があります。
次に、時間を作ってもらえるようにアポを取りましょう。
時間の調整がついたら、場所を押さえましょう。
場所は他の職員の目が入るオープンなエリアではなく、会議室のような会話しても聞かれない場所の方が適切です。
退職理由は?
直属の上司に退職の意思を伝える時、必ず退職理由が必要です。
この時のポイントは、退職理由を個人的な理由とすることです。
本当の退職理由が、仕事内容や人間関係にあったとしても、円満に退職するためには、ここは抑えて個人的な理由にしましょう。
意思を伝える時には、「大変お世話になりましたが」や「突然、申し訳ありませんが」などの感謝やお詫びを枕詞として、一言添えてから退職の意思を切り出しましょう。
退職の理由は、「一身上の都合により」とすることも可能ですが、基本的には具体的な理由を求められます。
その際は、個人的で前向きな理由にしましょう。
例えば、「より成長するために新たなキャリアを積みたい」、「このような分野を経験したい」などの理由であれば前向きと上司は捉えます。
この時、その理由が今の職場でも可能な場合は理由にならないため、注意しましょう。
円満に退職するためには、決して職場の不平不満を理由にすることはやめましょう。
2.退職願を提出しよう
直属の上司に退職の意思を伝えた後、直属の上司は所属長や総務課、人事課など関係する課に承認を得ます。
承認が得られたら、総務課や人事課などから退職願の様式をもらい、記入して、提出します。
このとき、注意が必要なのは、退職願と退職届は違うということです。
退職願は、退職したいとお願いをするための書類です。
退職届は、自分が退職することを通知する書類で、会社が退職させるかどうか考える余地はありません。
退職願いは、双方向のやり取りがありますが、退職願は一方向のため、受け取る側の印象はまったく異なります。
退職願と退職届、一文字違いですが、大きな違いですので間違いないよう注意してください。
3.身の回りを整理しよう
退職願を提出したら、事務的な準備が一気に増えます。
そこに通常業務と有休消化も加わるため、意外に時間がありません。
退職日から逆算して、有休消化で作業ができない日にも注意しつつ、引継ぎと退職関係書類を準備しましょう。
引継ぎの書類は、前任者から引継いだ引継ぎ書がある場合と、新規にゼロから作成する場合があります。
ゼロから作成する場合は労力がかかるため、それも踏まえて準備が必要です。
引継ぎ書が完成したら、上司に引継ぎ書を確認してもらう必要もあります。
一般的には上司が引継ぎ書を確認して初めて引継ぎができるため、やはり準備は早めに取り掛かりましょう。
もっとも、公務員界隈では引き継ぎ書のチェックを上司が行うことは非常に稀であり、退職後に引き継ぎ書へのイチャモンをつけられたくなければ丁寧に、気にしないのであれば適当に作成して問題ありません。
業務の引継ぎ
退職届を提出したら、業務の引継ぎのために同僚へ退職を報告します。
報告する時期は、およそ1ヶ月前に行われるのが通例ですが、職場や引き継ぐ業務量などで前後させた方が良い場合があるため、上司と相談して決めましょう。
引継ぎは後任者がわかりやすく、職務に関係する人の迷惑にならないように気を配り、上司と相談しながら行いましょう。
引継ぎ書類は更新する場合と、新規に作成する場合では作業にかかる時間が違います。
時間を見つけて早めに作成しておくことが必要です。
有給休暇を消化しよう
有給休暇は公務員であっても取得・消化できます。
有給休暇は労働者の権利なため、遠慮なく取得して退職しましょう。
しかし、有給消化は退職する時にトラブルが起こるリスクが高いものです。
職場の雰囲気が良い場合は有給消化がすんなりできることが多いですが、とても忙しく引継ぎが難しい職場の場合は有給消化を止められる場合もあります。
トラブルを回避するためには、有給休暇の残日数を把握し、引継ぎが滞りなくできるように前もって準備しておくことが大切です。
個人的な意見となりますが、有給消化は権利なため必ず消化しましょう。
有給消化を拒否する上司には「権利ですが、争いますか?人事課に録音したデータを渡します」と一言添えるだけで消化は必ずできます。
退職後には顔を見ることはありませんので、気にする必要はありません。
もちろん、気が引けるという人で消化することを選択しなくても良いです。
しかし、短い人生の貴重な最大40日間の有給、今まで身勝手な人事異動や裁量を持たせてくれない事務分掌負担を受けていたかと思います。
組織に感謝はしても恨みも何もないのでしたら、仏として退職日まで仕事をするのが良いでしょう。
退職関係書類を提出しよう
退職する時には、たくさんの書類が必要です。
書類はたくさんありますが、事務の方にお願いすれば準備してもらえます。
たいていの場合、記載例もありますし、不明なところは事務に質問しましょう。
退職するために必要な書類は、大きく分けて退職関係および退職手当関係の書類、共済関係の書類、その他の財形貯蓄払戻請求書の3つです。
たくさん書類があるため、記載には時間がかかります。
また、それぞれの書類は、提出時期が異なります。
退職願が受理されたら、早めに準備して記載漏れ、提出漏れがないように気を付けましょう。
4.退職の当日
退職当日の流れは、大きく分けて3つあります。
所属部署や職務関係者への挨拶、備品の返却、退職辞令を受け取るの3つです。
円満に退職するためには、所属部署や職務関係者などお世話になった方への挨拶は欠かせません。
菓子折りを持参しておけば、感謝の気持ちを伝えやすくなります。
挨拶する順番は、最初は直属の上司からで、所属部署、関係のあった他部署をまわりましょう。
挨拶する時間は、忙しい時間は避けて午後の落ち着いた時間にしましょう。
備品の返却は、職場によって異なるため、あらかじめ事務に尋ねておきましょう。
例えば、制服や作業着、身分証明書、名刺、鍵、公務用携帯電話、保険証、パソコンとその周辺機器、備品などがあります。
退職日には、すべての私物を持ち帰らなければなりません。
私物が多い場合は、退職の日までに少しずつ持ち帰りましょう。
最後に所属長から辞令を受け取って退職します。
退職する時にスピーチを求められることがありますが、批判的な発言や長々と話すことは控えましょう。
印象が悪くなります。
退職金や失業手当はどうなる?
残念ですが、公務員は基本的に失業保険がもらえません。
公務員は失業の危険性が少ないため、雇用保険法6条によって雇用保険の対象外になっているからです。
しかし、安心してください。
公務員は失業保険の代わりに退職手当がもらえます。
退職手当は退職の時に支給される手当のことです。
退職手当の支給額は、退職前の給与、勤続年数、退職理由(自己都合退職、定年退職など)で算出されます。
先ほど、失業保険は基本的には受け取れないと述べました。
しかし、条件を満たせば失業保険はもらえます。
勤続年数が短いと退職手当は少なくなります。
この場合、退職手当の支給額と失業保険の相当額を比較したときに、退職手当の支給額が少ない場合は、ハローワークで手続きをすると差額分がもらえます。
目安として、勤続年数3年未満が対象となります。
ただし、勤務条件によって異なるため、自分が対象か判断がつかない場合は、ハローワークで問い合わせてもよいでしょう。
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退職後に必要な手続きは?
退職した後、忘れてはいけない大事な手続きがあります。
年金と保険です。
注意が必要なのは期限があることです。
手続き自体は難しいものではありません。
退職してのんびりしたいかもしれませんが、期限が短いものもあるため、先に手続きを済ましてからのんびりしましょう。
役場に行き、公務員を退職したことと、年金、保険の手続きについて尋ねると教えてくれます。
役場に行く時は、マイナンバーカード、写真付きの本人確認書類(運転免許証など)、年金手帳、印鑑、退職証明書(退職の辞令でも可)を忘れないように持参しましょう。
健康保険
退職した後は、国民健康保険か、任意継続(共済組合など)か、家族の扶養に入るかの3つを選択しなければなりません。
国民健康保険に加入する場合、退職後14日以内に資格喪失証明書と国民健康保険被保険者資格取得届を市区町村に提出します。
任意継続の場合は、退職後20日以内に任意継続被保険者資格取得申出書を職場の健康保険に提出します。
家族の扶養に入る場合は、退職後5日以内に家族の勤務先から被扶養者(異動)届を年金事務所に提出します。
退職してすぐに転職する場合は、転職先の保険に加入することになります。
この場合、転職後5日以内に被保険者資格取得届を年金事務所に提出する手続きが必要です。
転職先の事務の方に相談して、保険の切り替え手続きをしてもらいましょう。
年金の切り替え
公務員の時の年金は厚生年金でしたが、退職後に自営業や無職となる場合、退職後14日以内に国民年金への切り替えが必要になります。
役場で国民年金被保険者資格取得届を記入して手続きができます。
健康保険の手続きをする際に、一緒に手続きを済ませましょう。
年金の場合も、原則国民全員が年金に加入することになっているため、無職であっても年金の加入が必要です。
ただし、手続きによって年金の支払いを免除や猶予されることがあります。
退職して支払いが難しい場合は役場で手続きができます。
まとめ
公務員が退職する時の手順をまとめました。
退職するまでの全体的な流れは、以下の通りです。
- 退職の意思を伝える
- 退職願の提出
- 面談
- 退職手続き
- 引継ぎと有休消化
- 退職
- 退職後の手続き
ポイントは退職するまでに全体的な流れを把握し、退職日から逆算して計画を立てて退職することです。
公務員が退職する場合、失業保険は基本的にもらえませんが、退職手当が受け取れます。
勤続年数が少ない場合は、失業保険が受け取れる場合があります。
判断がつかない場合は、ハローワークで尋ねましょう。
退職後も健康保険や年金の切り替えと必要な手続きがあります。
期限が短いものもあるため、退職したら早いうちに手続きを終えておきましょう。
実際には退職だけではなく、新しい転職先での準備や人によっては転居もあるかもしれません。
全体的な流れを把握して漏れがないように準備し、明るい新生活に望みましょう。
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