安定している職業の代表格であるのが「公務員」。
この不安定な情勢の中ではとても人気の高い職業の一つです。
しかし、若いうちは「給料が低い」と言われていたり、「職業や地域によっても給料に違いがある」と言われたりしており、具体的にどれくらい給料がもらえるのでしょうか。
もらえる給料がわかると将来のイメージがつきやすいので、公務員になるための動機づけになったり、経済的なプランも立てやすくなるでしょう。
この記事を読むと、公務員の給料はどうやって決まっているのか、どれくらいもらえるのか、給料はどうやって増えるのかなどがわかるようになります。
この記事では、公務員の給料について、給料の決め方、給料の仕組み、給料の上がり方などを詳しく紹介します。
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国家公務員の給料は法律で決められている
国家公務員の給料は、聞きなれない言葉で、俸給と呼ばれています。
厳密には、俸給は諸手当を差し引いた基本的給与のことを指します。
国家公務員の給料は人事院規則の「一般職の職員の給与に関する法律」で定められています。
なぜ、国家公務員は法律で給料を決められているのでしょうか。
それは国家公務員の基本的人権を守るためなのです。
国家公務員は、職務に公共性があるために、団結権・団体交渉権・争議権からなる労働基本権が制限されています。
この制限によって、国家公務員は労働者としての人権が脅かされる危険性があるのです。
そのため国家公務員は、労働基本権が制限されている分の代わりとして法律で給料を決めることが必要なのです。
それでは一体、その法律とは、どのような機能を持った法律なのでしょうか。
一つ目は、国家公務員の給料を社会情勢に合わせた給料にする機能を持っています。
社会情勢は年々変化していくため、毎年社会情勢に合わせて給料を調整する必要があるのです。
もう一つの機能は、国家公務員の給料水準を民間企業の従業員の給料水準と釣り合いが取れるようにすることです。
このようにして、国家公務員の給料は法律によって決められているのです。
国家公務員の俸給表とは?
国家公務員の給料は、法律によって決められています。
国家公務員には様々な職種がありますが、職種によって給料が異なります。
職種ごとの給料を表にしたものが俸給表なのです。
俸給表は、11種17つに分類されており、職種や学歴などによって収入が異なります。
俸給表は国家公務員の給料ということもあって、公共性、公正性を持っているため、だれでも見ることができます。
俸給表は職種ごとに違う
国家公務員の俸給表は17種類あり、以下のようになっています。
- 行政職俸給表(一):2.~17.に記した以外の国家公務員
- 行政職俸給表(二):庁舎の監視や用務、機器の運転操作などを行う職員
- 専門行政職俸給表:家畜防疫官、植物防疫官、船舶検査官、航空管制官など
- 税務職俸給表:国税庁職員など
- 公安職俸給表(一):警察官、刑務官、皇居護衛官など
- 公安職俸給表(二):公安調査庁、検察庁、少年院刑務官、海上保安官など
- 海事職俸給表(一):航海士、船長、機関士、機関長など
- 海事職俸給表(二): 船舶職員など
- 教育職俸給表(一):大学に準ずる教育施設で教育に係る職員、校長、教頭、教授、准教授、講師または助教など
- 教育職俸給表(二):高等専門に準ずる教育施設で教育に係る職員
- 研究職俸給表:試験所や研究所の職員など
- 医療職俸給表(一):病院、診療所、療養所などに勤務する医師や歯科医師
- 医療職俸給表(二):病院、診療所、療養所などに勤務する栄養士や薬剤師、その他の職員
- 医療職俸給表(三):病院、診療所、療養所などに勤務する看護師、保健師、准看護師、助産師など
- 福祉職俸給表:障害者支援施設、児童福祉施設などに勤務する保育士、生活支援員、児童指導員など
- 専門スタッフ職俸給表:行政の特定分野で調査、研究、情報分析などを行う専門職
- 指定俸給表:事務次官、研究所や試験所の所長、病院や療養所の長など特定の職務に就く職員
俸給表は号俸と級で構成されている
出典:東京都行政職職員給料表
俸給表は職種と学歴ごとに適用される給料表が決められています。
俸給表は「号俸」と「級」でできています。
俸給表の見方は、縦列が号俸、横列が級となっています。
号俸とは、職務の経験年数に応じて支払われる給料のことです。
号俸は定期昇給に応じて、俸給表では次のランクに移り給料が上がります。
級は新しい役職がつくことです。
俸給表の級を表していて、上位の級に変わると新しい職務になり昇格となります。
上位の級に昇格すると新しい号俸があり、またその中の号俸が上がると給料も上がっていきます。
俸給表は、人事院のホームページ「国家公務員の給与制度」・俸給表で公開されており、誰でも閲覧可能ですので、ぜひご覧ください。
公務員の給料が公開されている理由は、民間企業の従業員の給料レベルに合わせるため、どのようにして給料を決めたのか、その根拠を国民に説明する必要があるからです。
そのため、俸給表も公開されています。
反対に、下位の職務に変わることを降格と呼びます。
降格は職務実績がよくなかったり、心身の不調により職務遂行が困難であったりするなどの理由が対象となります。
ちなみに、号俸も下がることがあり、これを降号と呼びます。
降号は、職務実績がよくない状態で、指導を受けても改善しない場合が対象となります。
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地方公務員の給料は議会の議決により決まる
地方公務員の給料はどのようにして決まるのでしょうか。
地方公務員の給料は、議会の議決により決まります。
地方公務員の場合は、俸給表ではなく、給料表を使用します。
俸給表と給料表、給料のシステムは似ていますが、給料の決め方は同じではありません。
給料表は、俸給表と同様に、民間企業の給料水準と釣り合いが取れるように調整して決められています。
地方公務員では、人事委員会が置かれている自治体と置かれていない自治体では、給料を決定する手順が異なります。
人事委員会が置かれている団体では、人事院勧告の内容と民間企業の賃金動向調査なども含めて検討され、人事委員会が提案します。
人事委員会が置かれていない団体では、国家公務員の給料水準を受けて、給与改定方針が決定されます。
いずれの場合も、人事委員会が決めるのではなく、議会の議決によって給与が決まります。
地方公務員の給料表は職種ごとに決められている
地方公務員の給料表は、国家公務員の俸給表を受けて作成されているだけあり、給料システムは似ています。
給料表も俸給表と同じで、職種と学歴ごとに適用される給料表が決められています。
給料表の職種はそれぞれの地方自治体の条例や規則によって異なりますので、詳細を知りたい場合は、各地方自治体の給料表を確認しなければなりません。
給料表の構成は、俸給表と同じで、号給と級でできています。
給料表の見方も、縦列が号級、横列が級となっています。
号給は職務の経験年数に応じて支払われる給料のことです。
国家公務員は号俸と呼ばれるのに対し、地方公務員は号給と呼びます。
級は新しい役職がつくことです。
新しい役職がつくことを昇格と呼び、昇格すると上位の級の号級に移ります。
上位の級に昇格すると、上位の級ごとの号給があり、また少しずつ号給のランクが上がって給料も上がっていきます。
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公務員の給料、どうやって増える?
公務員の給料はどうやって増えるのでしょうか?
公務員の給料の増やし方には2つの方法があります。
昇給と昇格です。
国家公務員と地方公務員では、俸給と給料、号俸と号給など呼び方は異なりますが、給料の増やし方に違いはありません。
次節では、昇給と昇格のシステムについて紹介します。
ここでは、国家公務員の給料システムでの呼び方に合わせて説明します。
公務員の昇給とは
公務員の昇給とは、定期昇給です。
公務員の給料は定期的に昇給します。
昇給はそれぞれの級ごとに号俸が決まっており、昇給の時期になると上位のランクの号俸になり給料も上がります。
昇給の時期は、年に1回あります。
これを定期昇給と呼びます。
国家公務員の場合は、1月1日となっています。
地方公務員の場合は、自治体によって異なります。
昇給の程度は、能力評価と業績評価で決まります。
評価は、勤務成績や懲戒の有無などによって検討されます。
評価結果は、A~Eの5段階で評価されます。
最も低いE評価は昇給がありません。
評価が高いとより高い号俸が得られます。
公務員の昇格とは
公務員の昇格とは、俸給表の級が上がることです。
これを昇格昇給と呼びます。
昇格は新しい役職がつくことで、俸給表の級が上がります。
俸給表の級は、役職を表しており、部長、課長、係長など出世して、上位の階級に変わると昇格になります。
昇格も定期的に検討されますが、昇給より上がる条件は難しくなっています。
その条件とは、直近の2回分の能力評価を元にして検討されます。
その能力評価が上位のクラスであることと、人事院が定めている条件をクリアしている必要があります。
まとめ
この記事では、公務員の給料表について説明しました。
国家公務員の給料を表にしたものが俸給表で、職務種ごとで11種17に分類されています。
地方公務員の場合は給料表であり、俸給表と似たシステムです。
俸給表は「号俸」と「級」でできていて、号俸と級が変わると給料が増えます。
公務員の給料の増やし方には、昇給と昇格の2つの方法があります。
公務員の昇給は、定期昇給で昇給の時期になると上位のランクの号俸になって給料も増えます。
公務員の昇格は、新しい役職がつくことで、俸給表の級が上がることです。
これを昇格昇給と呼びます。
公務員の給料表を知ることで、公務員の給料はどうやって決まっているのか、どれくらいもらえるのか、給料はどうやって増えるのかなどがわかります。
もらえる給料を把握して、この不安定な情勢の中でも安心して生活できる経済プランを立てましょう。
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